森田 昭仁代表取締役

事業を始める前までは、アメリカで観光客誘致のためのイベントやブースの手伝い、マーケティングなどの仕事に携わっていました。そこでは地元の外国人と交流する機会が多かったので、日本でやりたいことを聞いたところ「日本の地元の人と交流したい」という意見が多くありました。しかし、観光などで来日し、ホテルや旅館に宿泊しても、地元の人と交流ができる場所はないと思ったんです。合わせて、海外でイベントを開催する際、大きな写真が必ず飾られていたんですが、そこに浅草、京都と並んで「スノーモンキー」の写真が毎回ありました。これはどこだろうと思い調べたところ、長野県の山ノ内町という場所で、外国人がすごく集まる地獄谷温泉という観光スポットということが分かりました。この場所でホテルや旅館ではなく、ゲストハウスを始めれば外国人も含め観光客の方々が交流できる場となるのではないかと思ったのが事業を始めたきっかけですね。
一方で、ゲストハウスだけでは「地元の人」との交流は難しいかもしれないと思い、施設の中で英会話教室を開催したり、地元の人がイベントを開くスペースを設るなど、地元の人と一緒に触れ合っていただくようにしています。英会話教室で学び、宿泊している外国人と英語で会話することで実践できる。また、宿泊客も地元の人と交流ができる、そんな場所になればいいなと思っています。

現在、外国からの宿泊客が約８割を占め、長期滞在者も多いことから、値段はリーズナブルに設定し、施設の中にジムスペースも設けるなど外国の方に喜んでもらえるようにしています。また、外国人に落ち着いて過ごしてもらうために、「和」のテイストに「洋」をプラスして、「和」と「洋」が融合されている空間の提供を心がけています。
その他にも、布団を用意し、日本らしい経験をしていただくように努めていますが、布団に慣れていない外国人がほとんどのため、日本の薄い布団だと腰を痛めてしまう人もいます。そこで、厚さ12ｃｍの布団を用意したり、ベッドの部屋も用意しています。やはり、小さい頃からドラマなどで見て、布団で寝るという経験をしたいという人が多いんですが、長く滞在すればするほどベッドが恋しくなる人も多いので、その人たちにも快適に過ごしていただくための工夫をしています。この場所で楽しんでリラックスしてもらって、いい出会いがあればいいと思っています。「旅は一期一会」と言いますが、そのタイミングでその日にその場所に来ないと会えない人ばかりが集まっている場所を提供していると思います。だからこの場所を、出会いの場として大切にしています。お客さまから「いい出会いがあった」と言われるのが一番嬉しいですね。

世界百何十ヵ国ある中で、日本を選び、そしてこの山ノ内町を選んで来てくれているというのは何かのご縁だと思います。その人たちに、この場所で新しい出会いがあり、いい思い出を持ち帰ってもらいたいですね。そして、その思い出が友達に広がり、新しい人が山ノ内町に行こうと思ってくれる。そして、また新しい出会いが生まれる。そういうつながりが増えて、世界中がどんどん小さくなっていけばいいなと思います。また、海外から人がたくさん来ていますが、逆に日本から海外に行く人を増やしていきたいと考えています。そのため、今も長野市でインターナショナルスクール幼稚園を開いていますが、国際人を育てて海外に羽ばたいてもらい、海外でのいろいろな経験を糧に日本で活躍してくれる人が増えてほしいなと思っています。