フランスでの経験を機に地元での開業を決意
両親が塩尻で中華料理店を営んでいることもあり、学生の頃から、いずれは自分のお店を開きたいと考えていました。洋食をはじめ各料理、料理以外を一通り見てきた中で、スイーツの世界が唯一輝いて見えたことが、パティシエを目指したきっかけです。他の人がやっていないことをやりたいという気持ちがあった中で、当時パティシエが少なかったことも目指した理由の1つです。専門学校を卒業後に働いていた東京のお店の店主が、若いうちにスイーツ発祥の地であるフランスへ修行に行くことを勧めてくれ、その後ワーキングホリデーの制度を使って1年半の期間、フランスへ行きました。慣れない土地へ行く不安がありましたが、店主がフランス人だったためフランスの話をよく聞いていたこともあり、準備はスムーズに進みました。そのフランスでの経験が、地元塩尻で、このお店を開いたことにつながっています。
フランスには、スイーツを特別な日に食べるご褒美というより生活の一部と考える文化があります。地元の農家が収穫した旬の果物や自宅の庭で採れた食材を、素材の良さを生かすためにそのまま使用してスイーツを作っています。味も家庭的で、何回食べても飽きないようになっています。
また、上下関係を気にせず自分の意見をぶつけ合う文化がフランスにはあります。互いに思ったことを伝え合い、よりよいものを作っていきます。自分が開業するときも、意見を言い合えるお店にしたいと感じました。
フランスでの経験を通じて、地元塩尻の農家と直接顔を合わせ、フルーツに込めた想いなどを感じながらスイーツを作っていきたいと考えるようになりました。そこで帰国後は一旦塩尻へ戻り、農家へ1軒ずつ足を運び、話を聞いて回りました。その時、塩尻では多くの農家が、様々なフルーツを作っていることに気付きました。改めて塩尻の魅力を感じた瞬間です。
フランスへ行く前は、華やかさがある東京で、宝石のようなスイーツを作ることに憧れていました。しかし帰国後は、自分より長い年月を地元で過ごしている農家と一緒に、新しいものを生み出したいと考えるようになり、塩尻での開業を決意しました。
生活を彩るお店を目指して
店名に使用している「クルール」は、フランス語で「彩る」という意味です。地域に根付き、お客様の生活を彩るお店を目指しています。店内の彩りにも気を配っており、白を基調としながら、ブティックのようにチョコレートやケーキをショーケースに1点ずつ並べています。ショーケースを見て、1つ1つじっくり眺め、細部までしっかり見ていただけるようにしています。「どんな味かイメージを持ってほしい、安心して食べてほしい」という気持ちが込められています。
スイーツを作る上では、フランスのスイーツのように地元農家や自家製の食材を使用し、素材の良さを生かすように心掛けています。その際大事にしていることは、香りです。目で見て楽しんだ後、香りを楽しんでいただきます。更に口に入れた瞬間に1番香りが広がるように作っています。ただ甘い味がするだけではそのうち飽きられてしまいます。地域に住むお年寄りからお子様まで、何回食べても飽きない、生活の一部となるスイーツを作り続けていき、何十年と地元に愛され続けるお店を目指しています。
夢は、スタッフが開業していけるお店にすること
自分が開業するまでの10年間は、周りに恵まれ、彩りに溢れた10年間だったと振り返ります。自分が学びたいことを支援してくれて、やりたいことを応援してくれました。自分が教わったことや体験したことを、次の世代へ伝えていく、次の世代が自分を超えていく、それが今までお世話になった方への恩返しだと考えています。
スタッフがこのお店で作りたいスイーツを作り、経験を積むことで、将来の開業につながっていくことが私の夢です。そのために、上下関係を気にせず自分の意見を伝え合い、よりよいスイーツを作り続けるお店にしたいと考えています。
店舗名 | patisserie COULEUR(パティスリー クルール) |
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所在地 | 〒390-0704 長野県塩尻市広丘郷原1762-441 |
HP | https://www.instagram.com/patisserie_couleur/ |
事業内容 | 洋菓子店 |
店舗外観 | |
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