築150年の歴史ある建物「九如亭」
飯田市南信地区の特徴でもある本棟造りで、築150年の歴史ある建物を、今後どのように維持・保存していけばいいのかという課題が以前からありました。画家としての職業の一方、飲食店員としても従事していたため、何かできないかと考えたときにその経験を活かそうと思いました。茶寮経営を成功させていかなければいけないという思いもありますが、建物を将来的に維持・保存していくかを考えるために始めたのが大きいですね。
「九如亭」という名前は、明治時代の書道界の第一人者であった日下部鳴鶴氏が訪れた際に、残していった書を基にしています。中国の詩経にも「九如亭」という題名で、当時の名家をたたえる詩があるようです。
湧き水を使ったまろやかなコーヒー~非日常空間の提供とともに~
亡き祖父が秋田でコーヒーショップを経営しており、道具などを譲り受けたことから、それを使っておいしいコーヒーを提供するお店を始めたいと考えました。
飯田市上久堅には「観音水」という湧き水があります。この水を使ったコーヒーを明治初期の食器を使い、来店されたお客さまに時間を気にせずこの建物で非日常を味わっていただきたいと思っています。食事だけではなく、目でも楽しみ、文化や歴史をお客さまに感じていただき、時間の許す限りゆっくり過ごしていただければと思います。
来店されたお客さまは、まず建物に感動し、ぐるぐると部屋の中を見て回った後、座ってコーヒーを飲む。その後においしいと言っていただいてからいい雰囲気に落ち着き立ち上がれなくなり、長く居てくださる方が多いため、とても嬉しいですね。
「九如亭」を一緒に守る 「古家の守」
建物を維持・保存していくためには、お庭の整備や柱、梁の掃除など周辺環境を整えることに加え、古い建物にとっての一番の敵である雨対策が必要となります。
そんな中、茶寮をオープンしてから「古家の守(ふるやのもり)」という名前でボランティアの方を募集しました。古い住宅に興味がある方はたくさんいらっしゃいますが、一緒にこの建物を将来に向けて維持・保存していかなければならないという気持ちの方を募り、現在2名の方に手伝っていただいています。「九如亭」をともに守っていってくださる方がいるということは、とてもありがたいですね。
また、お客さまから茶寮経営に関する意見だけではなく、維持・保存に向けてのアドバイスやアイデアを多数いただき、とてもいい経験となっています。
「美の拠点」を目指して
飯田でもここを知らない方がまだまだ多いと思いますが、「九如亭」を飯田の一つの特徴にしていきたいですね。下伊那地区には芸術作家がたくさんいる中、現在床の間の一角で地元芸術家の作品展示を行っています。この取り組みをはじめとして、飯田の文化芸術の発信地、「美の拠点」になればいいなと思っています。
山奥にあるため、たくさんの方が来店されるという場所ではないと思いますが、歴史のある住宅が好きで、昔のものや原風景を感じてくださる方に足を運んでいただき、これからもここでゆっくりとしていただける空間を提供できればと思っています。
店舗名 | 九如亭 |
---|---|
所在地 | 〒399-2605 長野県飯田市下久堅715 Tel:0265-29-7766 URL:http://www.kyujotei.com/ |
代表 | 宮井 啓江 |
開業 | 平成28年5月 |
事業内容 | 茶寮経営 |
店舗外観 |