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いこい屋rin

小林 清人オーナー

中野市中央 通称“湯町”にある「いこい屋rin」は1階が吹き抜けのカウンターとテーブル席2つ、2階は20人程度の宴席ができる、白を基調にした明るい店舗です。オーナーの小林清人さんにお聞かせいただいた事業への想いや、夢をご紹介します。

地域の皆さんの「いこいの場」で、お客様主体の料理の提供

地域の皆さんの「いこいの場」で、お客様主体の料理の提供
地域の皆さんの「いこいの場」で、お客様主体の料理の提供

店の名前の「いこい屋」は、単においしい食事を提供するだけでなく、地域に密着し、お客様と自分とのかかわりあいの中に食べ物や飲み物がある、そんな皆さんのいこいの場になればと願い、名付けました。ちなみに「rin」は飼っていた愛猫の名前です。
私は飲食業界を40年やっていますが、以前は、こちらが作りたいものを作って「おいしいだろ!」と提供していましたが、最近はお客様が食べたいもの提供したい、お客様が何か食べたいといえば、『あるよ』となんでも作れるお店がいい、と思うようになりました。それを作って、「思っている通りの味ですか?」みたいな会話が楽しいです。組み合わせも自由で、ワインにお寿司やお刺身、日本酒にお肉、など、こちらが少し邪道だと思っても、お客様がそれを食べたいといえば、提供しています。ですので、どんな要望にも応えられるよう、飲み物はウイスキー・日本酒・ワインなど大体の種類を揃えています。
料理人としてのスタートは、高校を卒業してすぐ、すし屋に勤めた10代です。20代になると、自分の家がすし屋だったことから実家に戻りました。でもトム・クルーズの「カクテル」という映画にすごく憧れたこともあり、すし屋を辞めて、30代ではカクテルバーを始めました。これは結果としてうまくいかなかったのですが、そうこうしているうちに、叔父が居酒屋を始めたので、40代ではその店を手伝うようになりました。手伝っているうちに「居酒屋というのは寿司も出せるし、カクテルも出せるし、よくよく考えてみれば自分のやってきたことを活かすことができるし最強だ!」と実感しました。その後、50代で独立して、店舗を借りてカクテルも出せる小さな居酒屋を始めました。ただ物件は狭かったので、「キャパを大きくしないと売上が上がらない」と思い、広めの店を建て、ここに移りました。
カウンターの中で料理をしながら、お客様と会話していると、自分の勉強にもなりますので、そういうスタイルが好きです。

コロナ禍で生まれた看板メニュー

コロナ禍で生まれた看板メニュー
コロナ禍で生まれた看板メニュー

名物というか看板のおすすめメニューは「熟成塩マグロ」です。奄美の生の本マグロを、一度も冷凍をかけずに、塩漬けにしたまま3カ月くらい熟成させて、そのまま提供しています。
コロナ禍になり、普段使っているマグロをどうやったら無駄にしないかを考えた時に、「塩マグロ」を思いつきました。どの位の塩を振って、どの位寝かせればおいしくできるか、試行錯誤しながら完成したのがこの「熟成塩マグロ」です。そもそも生で食べておいしいマグロに塩を振るという発想はなかったので、コロナ禍でなかったらできなかったメニューです。
味は、塩を振った分、雑味がなくなって、濃くなり、「ザ・マグロ」になります。生のマグロは醤油をつけて完成品なのですが、塩マグロは塩味があるので、醤油はいりません。ワサビだけで食べていただきます。中とろの部分を使っているので、刺身で食べると少しくどいのですが、塩マグロになると油も少し抜けていますので、ほどよい味になり、お寿司にすると最高においしいです。
ただ、仕込みの兼ね合いで、今日作ってその日に提供ということができないので、終わってしまうと最低1週間くらいは待っていただくことになります。
あとは「チゲ鍋」です。地元の味噌と醤油、ワインを使ってたれを作り、フグひれで香り付けをしています。そこに地元の豆腐を入れて「チゲ豆腐鍋」、肉を入れて「チゲ肉豆腐鍋」にし、一年中食べられるようにしました。
チゲたれも、1週間くらい冷蔵庫で寝かせて熟成することでおいしく、味もまろやかになります。また一味や七味など辛い調味料が入っていますが、辛すぎず、旨辛い位なので、お子様でも食べられると思います。
料理はその二本立てですが、今年からお弁当の仕出し販売も始めており、好評をいただいています。

コロナ禍を支えてくれたお客様に感謝

コロナ禍を支えてくれたお客様に感謝
コロナ禍を支えてくれたお客様に感謝

飲食店を開くという第一の夢が叶い、その次の段階で、借りている物件ではなく、自分のお店を建てたい、と思っていましたので、前の店の契約が切れるのを契機に、この店を建てました。
2020年1月にオープンし、スタートダッシュをかけたかったのですが、1カ月もたたないうちにコロナ禍になってしまったので、まともな営業はほとんど出来ませんでした。居酒屋は「悪」的な風潮だったので、お酒を飲む場の居酒屋にはほとんどお客様が来なくなり、それこそ3日も4日も閑古鳥が鳴いているような状況がここ4年間続きました。
しかし、そんなコロナ禍でも来てくれる常連のお客様はいました。このプレートの「呑兵衛会」というのは先日発足したのですが、今までコロナ禍でもこの店を支えてくれたお客様の中の25人で作った会です。こういう方たちがこの5年間、店を支えてくれました。やっと通常営業が出来るようになりましたが、大変な時期に支えてくれたお客様がいたからこそ店を続けられることができたので、本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。金銭面もそうですが特に精神面を支えてもらいました。そういうお客様様のためにも、がんばろうと強く思っています。
うちの店だけではなく、他のお店も多分同じだと思うのですが、ファンの方が一生懸命支えてくれた店が生き残っているのではないでしょうか。

この店と味を承継していきたい

この店と味を承継していきたい

今の一番の夢は、息子に限らず、従業員でも、第三者でも誰でもいいですが、そういう人たちに伝えられる料理を作りたい、大きなことを言えば伝統みたいなことになりますが。先ほどの「塩マグロ」や「チゲ鍋」などの作り方を次の人に伝えて、自分がいなくなっても、店も残るし、味も残る、承継したいという人が出てきてくれるような、そういう店を作るのが夢です。そのために借りものではなく自分の店を建てました。建てた以上はそうやって承継していきたいです。そこに料理があって、飲み物があって、人と人とのいこいの場になれってくれればいいなと思います。
「居酒屋」というカテゴリーではなく、「いこい屋」というカテゴリーが出来てくれれば、うれしいです

企業名 いこい屋rin
所在地 〒383-0022
長野県中野市中央1丁目2-16
HP https://www.big-advance.site/C/129/1988
事業内容 居酒屋
外観
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