自家製ジンギスカンが一番人気のスーパー
当店は、信州新町に根付いた、地域密着型のスーパーです。取扱い商品は、野菜、果物、肉、魚など、一般的なスーパーに置いてあるものと同じですが、主力商品として特徴的なのは、すべてタレから手作りしている自家製ジンギスカンです。また、最近は信州新町にあるお店とのコラボ商品や、そのお店の商品をなるべく多く扱うことに注力しています。
信州新町と言えばジンギスカン、ジンギスカン街道と呼ばれているように、ジンギスカンで有名な街です。当店自慢の自家製オリジナルタレは、野菜を刻むところからすべて手作りで、野菜と果物が中心の、しょうゆベースの味です。生ダレなので、わりとあっさりしており、お客様からは、「たくさん量が食べられる」とよく言われます。ありがたいことに、町内だけではなく、長野市内・松本市内をはじめとした県内や県外からも買いに来て下さる方がいらっしゃいます。
ジンギスカンはオリジナルタレの他に、長野市善光寺の「八幡屋磯五郎」の七味を使わせてもらったジンギスカン、「マルコメみそ」の味噌を使った味噌味のジンギスカン、当店のすぐ近くにある酒蔵の酒粕をタレに混ぜたジンギスカン、などコラボさせていただいたジンギスカンがあります。
ジンギスカン以外では、お惣菜にも力を入れています。当店の目の前に豆腐屋があるのですが、その豆腐を使ったお惣菜や豆乳を使った蒸しパン・ドーナツ・スコーンなども作っています。
父の遺言で店を引き継ぐ
私はアメリカに留学させてもらった経験があり、帰国してからは、子供たちに英会話を教える仕事をしていましたので、当初はお店を継ぐ気などほとんどありませんでした。しかし15年程前、当時の店が国道の拡張工事にあたったことを受けて、別の場所に移転するというタイミングで父が亡くなってしまいました。父は元気なときは店の経営については一切口に出さなかったのですが、移転にあわせて店を新しく大きくするという時に病気をして、亡くなる寸前に「店はお前が継ぐんだぞ。お前が社長になってやるんだぞ」と一言私に言い残しました。その時のことが今でも忘れられなくて、ずっと頭に残っています。
全く畑違いの仕事をしていましたので、いきなりお店を継ぐということにはかなり悩みましたが、踏ん切りがついたのは、やはり「継ぐのはお前だぞ」という父の遺言が一番大きかったです。
当店は、スーパーになったのは父の代ですが、ひいおじいちゃんが魚屋として創業したので、もう90年以上の業歴があります。90年地元で親しまれてきました。小さい時から両親がずっとお店をやっていて、その姿を近くでずっと見ていたこともあり、このお店を絶やしたくない、と後を継ぐことに決めました。
田中屋は昔から地域の皆さんに来ていただき、支えていただいているお店です。「田中屋さんがあってくれるから助かる」とお年寄りの方が毎日のように足を運んでくださり、「あれ美味しかったよ、これ美味しかったよ」と言ってくださいます。県外に出ても、帰ってきたら必ず「ジンギスカン買いに来たよ」と声をかけて下さる方もいます。そういったお客様との接点が近いことが、今のやりがいに繋がっているのだと思います。
手作りお惣菜は従業員が主体となって商品開発
ジンギスカンの味が増えていったのは私の代になってからです。オリジナルの物をやりつつ、もっといろいろな物を作りたい、という考えは、私というよりも従業員のアイデアが先行していました。
これから商売をしていくにあたって、大きいところと同じことをしていても、中々競えない時代になってしまいました。そこで、手作り総菜に関して、うちにしか出来ないものを作ろうと従業員たちに投げかけた時に、私の想いも汲んでくれて、「じゃあこういうものを作ってみましょう、ああいうものはどうでしょう」と従業員の方からいろいろ提案していただいて、手作り総菜の種類を増やしている最中です。ジンギスカンの味のコラボもそうなんですが、うち独自でしかできない事を増やしていくことで、少しずつ特色を出せる様になってきています。
そこからいろいろな総菜に繋がり、ジンギスカンのタレを使ったお惣菜の丼ものなど、色々な商品開発に枝葉が広がってきています。商品を作っている人たちに私の想いを伝えて、試作品をどんどん作ってもらい、みんなで試食して商品化しています。こうした取り組みで従業員のモチベーションが上がって気持ちが一つになり、頑張って考えてくれたり作ってくれたりしているのが、私も見ていてとてもうれしいです。従業員が活き活きと働きやすい職場にしていく、ということも大事だと思っています。
店内のイラスト・ポップは私が書いています。従業員が頑張って作った商品に対して、私の想いを乗せて、命を吹き込んでいます。
最近では、もっと多くの人にうちの商品を知っていただくために、ECサイトを立ち上げたり、ふるさと納税に出品する、など枝を広げていくことをいろいろ考えています。
信州新町のハブ的役割を
信州新町は高齢化が進み、過疎化地域になっています。ですが、ここでお店を構えさせていただいているからには、少しでも多くの方に田中屋を通して、信州新町にはこういういいところがあるんだよ、おいしいものがあるんだよ、ということを知ってもらえるきっかけになりたい、と思っています。店内に信州新町産のワイン、町内のお豆腐屋さんの手作り豆腐、信州新町の酒蔵のお酒、こうした信州新町の商品を少しずつ増やしていくことで、信州新町の色々な魅力や独自性をもっとたくさんの方に知っていただきたいです。
そして、来ていただいた方に、もっとワクワクだったり、楽しいと思っていただけるように、少しずつイベント的なことも増やしたいです。以前は外にテントを張って朝市をやったりしたのですが、それを再開して、ジンギスカンのふるまいをしたり、お楽しみ抽選会を開くといったイベントをやりたいです。田中屋をたくさんの方に来ていただける場所にすることで、地域を繋ぐハブ的な役割になることが今後の夢です。
地域の方に、「田中屋さんへ行くとお買物が楽しい」「こんなものがあってうれしかった」「買い物をしているとワクワクする」、そういう風に、一人でも多くの方に思ってもらえる店にしたい、と思っています。
企業名 | 有限会社田中屋魚店 |
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所在地 | 〒381-2405 長野県長野市信州新町新町183 |
HP | https://f-tanakaya.jimdofree.com |
事業内容 | スーパー |
外観 | |
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