分かりやすい素材で、本物のお菓子をお届けする
当店は工房で作るのみで、店舗営業はしていません。日頃は個人のお客様からのネット注文や、飲食店などのお店への卸売、農産物の直売所などに店舗の代わりに置いてもらってます。また土日はほとんどマルシェに出店させていただいています。
店舗・売り場を持たない形態を選んだのは、1人でやってるので、接客等のお客様対応をすると、どうしても作業が止まってしまいます。流れで作業をしていくうえでは手を止めたくないので、接客にエネルギーと時間を使うより、お菓子作りに専念することができるこの形が自分には向いてると思ったからです。
また、小さい店舗向けに卸をすることで、少しニッチな部分が埋められます。小さいカフェはお菓子にまで手が回らないという店舗がたくさんあるので、そういう所を埋められるような存在になれたらいいなと思います。縁の下の力持ちじゃないですけど、影ながら支えられる存在でありたいです。
ジャンルは、焼き菓子がメインです。長年色々な経験をさせてもらって、アメリカにいたこともあったので、そういう経験が全部合わさってできているお菓子になっています。たとえばマドレーヌやフィナンシェなど、同じようなものを作ったとしても、ちょっと他とは違うと感じてもらえるようなお菓子ができていると思います。
お菓子を作るうえで大切にしていることは、分かりやすい素材を使うということです。ここ安曇野では、リンゴやサツマイモ、野菜、そのほか卵や小麦、米粉やお米なども、生産者さんが分かる素材を手に入れやすいです。購入する際にその生産者さんからお話を聞かせていただき、それをお菓子に落とし込む。ちゃんと生産者さんが思いを込めて作られたものを使っていくことで、本物のお菓子をお客様にお届けできると思います。本当の素材の味、本当のお菓子とはこういうものだよ、ということをしっかり伝えていきたいです。
お菓子作りの原点は、お母さんが作ってくれた「おやつ」
当店のお菓子のコンセプトは「お母さんが作るおやつ」です。私自身、母のおやつで育ったんです。母はプリンやマドレーヌ、どら焼きなど、すごくいろいろなお菓子を手作りしてくれました。その影響もあったと思いますが、特に将来仕事にするという意識がない中で、私も小さい頃からお菓子作りを始め、ホットケーキやクループ焼いたり、友達とケーキを作ったりしていました。
お菓子はあくまでおやつであってほしいです。高級なケーキなどもたくさんあるのですが、私はおやつっていう部分を忘れたくないです。先ほどの「本物」にも通ずるのですが、お母さんが作るお菓子に、名前の分からないような素材は入らないじゃないですか。お母さんの作るお子さまに向けてのおやつ、家族に向けてのおやつの原点は、やはり愛情だと思うんです。現に私の母親もすごく愛情を持って、食生活を豊かにしてくれました。それがベースになっているので、おやつという意識は大切にしたいと思っています。
アメリカでの修行を経て安曇野へ移住
高校卒業以後、1年ほど米国大学の日本校へ通ったのち、渡米して、ロザンセルスの大学へ留学しました。その時は英語を勉強していたのですが、ふと「ただ親のお金を使って大学へ行ってもやりたいことがなければ意味がない」と思い、じゃあ何をしようかと改めて考えた時に、料理の道に行こう、お菓子をやろうと思ったんです。やはりそれしかなかったんですね。そこで、なるべく短期間で卒業でき、学生ビザも出るという学校を探したところ、よい学校がニューヨークにあったので、即決でニューヨークに飛びました。そこは調理の専門学校でした。8ヶ月間料理全般を学びつつ、お菓子職人を目指すという方向で勉強しました。
卒業後は、ニューヨークのレストランで働いていました。そこは、過去に原宿にあったオープンキッチンの先駆けとなるイタリアンレストランとして有名な「BASTA PASTA」のニューヨーク支店でした。私が卒業するのとお店のパティシエが辞めるタイミングが重なり、運よく働くことができました。
当時は卒業したばかりだったこともあり、なにもかもわからないことだらけで、怒られては悩むことを繰り返してお菓子を作っていました。本当に大変でしたが、同時にその分だけ多くの貴重な経験をさせていただけたと思いますし、その後の人生につながる出会いにも恵まれました。
帰国後は、料理とは畑違いの仕事も間に挟みながら、いろいろなご縁をいただいてパティシエとして働く中、自分のブランドを作ってお菓子をお届けしたいと思い、この「サンボ」を立ち上げました。
立ち上げた当時は鎌倉にいましたが、長野に訪れる機会が度々あり、いつか長野に住みたいと思っていました。なかなか決断ができなかったのですが、夏に安曇野に遊びに行った時に、ひかり橋から一望した北アルプスの景色に魅了されて、「ここに住もう、ここだ!」と決心し、2022年に安曇野に移住し、この工房を開きました。
全国の農家さんとお客様を繋げるハブ的な役割を
小さい農家さんが安曇野にはいっぱいいらっしゃいます。うちの大家さんもリンゴを作っていますが、かつてはそれを出荷するだけでした。でも私がここに来たことで、そのリンゴをお菓子に変えてお客さんにお届けすることもできるようになりました。こういう繋がりやご縁を増やしたいと思っています。
まずはここ安曇野から色々な農家さんと繋がって、その素材を使わせてもらい、お客様にこういう農家さんがいて、こういう素材があるんだということを発信する。それが全国に広がっていき、いろいろな方とコミュニケーションを取れるようになることで、農家さんの新しい販売方法なども広がると思うんです。そういう手助けができる存在になりたいと思います。
また、商品開発やメニュー開発にも携わっていきたいと思っています。商品開発ができれば、そこに生産者さんをつなげて、もっと展開していくことができるんじゃないかと思います。
あと今密かに考えてるのが、宿泊業です。一棟貸しのB&Bを考えていて、冷凍庫にうちのお菓子やスコーンなどの朝ごはんアイテムを詰めておき、自由に安曇野を満喫してもらうんです。
このような取り組みをすることで、いろいろなジャンルの職業の方々も巻き込むことができ、その方々の活動の場にもなったり、宣伝にもなったり、新しい雇用にも繋がるので、そういう形でstudio samboも役に立ちたいと思ってます。
企業名 | studio sambo |
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所在地 | 〒399-8103 長野県安曇野市三郷小倉2254-1 |
@sambo.love.peace | |
事業内容 | 洋菓子製造 |
店舗外観 | |
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